犬の貧血と食べ物の関係!獣医師が教える効果的な対策とおすすめのドッグフード

愛犬が貧血になるって考えたことはありますか?

貧血と言うと、人間であれば青白い顔色だったり、めまいで倒れそうになったり、特に女性には身近な健康問題かもしれません。

では、貧血とは具体的にどういう状態を言うのでしょうか?

貧血を大きく分けると、

①血液の成分である赤血球の数が少なくなる状態。

②赤血球の中に存在するヘモグロビン(注)が欠乏する状態。

③ ①と②の両方が起きている状態。

と、3種類に分けられます。

そして、一つの病気と言うよりも、何か別の原因があって(或いは病気があって)、その結果、上の3種類のどれかに相当する状態になると言えます。

貧血で一番最初に気になることは、血液成分の中の赤血球が足りなくなることで起こる酸素不足です。

赤血球が足りなければ、ヘモグロビンも足りなくなります。

その結果、全身への酸素運搬ができなくなる為、ハアハアと息切れをしてしまうことがあり、これは生死に関わる危険な状態です。

赤血球を始めとする血液細胞は骨髄で作られ、血液の中へと放出されて行きます。

人間の場合、赤血球のライフスパン(赤血球が作られてから、壊されるまでの期間)は120日程度とされており、犬もほぼ同じと言われています。

赤血球が古くなって壊されたり、何らかの原因で壊れてしまうと、全身の血流からは除去されて、自動的に再生されて行きます。

この際、壊れた赤血球の量が多すぎてしまうと、結果的に赤血球の数は減って貧血の状態に陥ってしまうことがあります。

貧血の原因は様々ですが、いずれにしても非常に危険な事態をまねく可能性があります。

動物においても、貧血という診断が下った時点で、直ちに治療を開始しなければなりません。

獣医師に治療を委ねずに、飼い主さん独自の判断でのケアはお勧めできません。

(注)ヘモグロビン:赤血球の中に含まれるタンパク質で、鉄が材料として使われます。

肺において、呼吸した際に体に取り入れられた酸素と結びついて、全身に運ぶ働きがあります。

犬に貧血ってあるの?

人間同様に、当然、犬の貧血は存在します。

その原因は様々で、以下に代表的な例を挙げてみます。

①体のどこかで出血をして起こる貧血

交通事故などの大怪我をして、血管や臓器が傷ついてしまった場合。

  • ノミやダニ、犬鉤虫、などのいわゆる”吸血”をする外部寄生虫や内部寄生虫に多量に吸血された場合。
  • 殺鼠剤などを誤飲したり、病気で血液が凝固しなくなり、出血した場合。
  • 腫瘍がある場合。

など。

②赤血球が壊れてしまうこと(溶血)で起こる貧血

  • 自己免疫疾患と言って、自分の体が自分の体を攻撃してしまった結果起こる貧血。
  • フィラリアなどの寄生虫感染症。
  • 薬物などの作用。
  • 腫瘍。

など。

③赤血球を作ることができないことで起こる貧血

  • 慢性腎不全。
  • 栄養障害(偏った食餌内容)。
  • 甲状腺機能低下症。
  • アジソン病。
  • 薬物などの作用。
  • 腫瘍。
  • 感染症。

など。

また、貧血によって同時に見られるであろう症状で、飼い主さんが気づきやすいものを以下に挙げてみます。

食欲不振。

  • 元気喪失。
  • 運動不耐性(動くとすぐに疲れてしまう。)
  • 体重減少。

犬の種類(サイズ、犬種)と貧血の関係

どんな犬種の子犬も、栄養不足から起こる貧血や、寄生虫感染、ウイルスや細菌類の感染から起こる貧血になりやすく、且つ、重篤になりやすいです。

子犬時代は、成長する為の沢山の栄養が必要ですから、成犬とは異なった、成長期の子犬用のフードを食べる必要があります。

また、体の抵抗力が低いことから、感染症に非常にかかりやすく、特に子犬で致死率の高いパルボウイルス感染症などは腸管からの出血を伴う為、貧血も起こしやすいです。

まだ生まれてから数ヶ月程度であれば、全ての体の器官が未発達ですから、失った血液を補う為の能力も低く、迅速且つ確実な治療が必要になります。

成犬においては、栄養不足や感染症での貧血に加えて、自己免疫性溶血性貧血と言われる貧血を発症する場合があります。

これは、英語の頭文字を取って AIHA (autoimmune hemolytic anemia)、或いは IMHA (immune-mediated hemolytic anemia)と呼ばれています。

この病気の正体は、免疫システムが、自分の赤血球を自分の体にとって害になる物と判断して攻撃をし、赤血球を壊してしまう状態です。

突然免疫システムが暴走して攻撃をし始める場合と、二次的に何か別の病気や薬剤などの影響で攻撃を始める場合が考えられます。

どの犬種でも発症する可能性がありますが、一次的な免疫異常によるものは、中年以降の避妊メスに多く、以下のような好発犬種(注)も存在します。

  • コッカース・パニエル
  • イングリッシュ・スプリンガー・スパニエル
  • ミニチュア・プードル
  • アイリッシュ・セッター
  • コリー
  • ミニチュア・シュナウザー
  • オールド・イングリッシュ・シープドッグ
  • ドーベルマン・ピンシャー
  • ミニチュア・ピンシャー
  • スコティッシュ・テリア
  • ビション・フリーゼ
  • シーズー
  • ラサ・アプソ

注)好発犬種は、この貧血を発症しやすいと言われているだけで、全ての犬種が定期的な健康診断を受け、血液検査で貧血以外の病気を含めた予防をする必要があることに変わりはありません。

日常で犬の貧血をチェックする方法

貧血診断は、動物病院で血液検査を受けることが何よりも確実です。

自宅で飼い主さんがわかるレベルの貧血は、かなり重篤な状態であると考えられます。

一方、病院の検査は、見た目では分からない貧血も確実に診断をすることが可能です。

その方法は、実際の赤血球の数、ヘマトクリット値(血液中の血球成分の割合を何%と言う形で表す)、ヘモグロビン値、の3つの数字を基準にします。

異常が見つかった場合には、更に詳しく赤血球の大きさや形をチェックして、どのタイプの貧血であるか(注)を診断して行きます。

以下に、貧血の時に見られる症状を元に、簡単な貧血チェック法を解説します。

しかし、繰り返しになりますが、チェックをした際に異常が見られるレベルは非常に深刻な事態です。

この状態になる前に、最低1年に1度は血液検査を含む健康診断を受けるべきです。

注)貧血のタイプ:例えば、再生性貧血(赤血球を生産している)や再生不良性貧血(赤血球を生産していない)などの分類を行ったりします。

①口腔内の粘膜の色

歯茎の色を見て、綺麗な濃いピンクよりも薄く、白に近い色に見える場合は貧血が考えられます。

普段から正常時の色を見て覚えておけば、小さな変化も気づくことができるので、是非、普段の正常な色に慣れておきましょう。

②呼吸の速さ

貧血がある場合には、酸素が不足により、ちょっとした動きでも呼吸が速くなったり、じっと動かない状態でも速いことがあります。

犬は人間に比べて、意外に呼吸速度が速い為、普段から1分間の回数を数えてみることも、体の変化を知る指標になります。

個体差が非常にありますが、平均20回前後、30回を超える場合は速いと考えられます。

③皮膚の色

例えば、地肌の色がわかりやすい場所を見ると(特にお腹から股にかけて)、全体的に白っぽく見えることがあります。

粘膜よりもわかりにくいですが、普段の色を知っていることで、変化に気づきやすくなります。

また、血液が固まらない状態により出血傾向がある場合には、紫斑(あざ)のようなものが見られることがあります。

④排泄物の色

例えば、明らかに真っ赤な鮮血便、真っ黒に近い便、血尿、血色素尿(特にフィラリア症では、赤褐色の尿が出る)などは出血のサインと考えられますから、貧血になる、或いは貧血になっている可能性があります。

犬の貧血を予防する方法

貧血の原因は多数存在するため、予防法も”これだけやれば完璧”と言えるものが存在しません。

以下には、”最低限、これだけは絶対に気をつけるべき”というポイントを紹介します。

①栄養バランス

毎日食べる食餌には、健康な体作りに必須ですから、当然気を使わなければなりません。

現在、ペットフードの品質は目覚ましく向上しており、総合栄養食品と言われている物は、それだけを食べていても必要な栄養が簡単に摂取できるようになりました。

しかし、大好きなトリーツの与えすぎなどをすると、栄養のバランスが崩れたり、肥満に繋がるので要注意です。

自分の子に合った適切な総合栄養食品を与えて、抵抗力をアップし、感染症による貧血や栄養失調から来る貧血を予防しましょう。

特に、成長期真っ盛りの子犬のフードに関しては、毎月のワクチン接種で獣医師からアドバイスを受けることができますから、是非、そのチャンスを活用して下さい。

②感染予防

確実に予防できる貧血の種類として挙げられるのは、吸血性の寄生虫(ノミ、ダニ、鉤虫、鞭虫、など)による貧血です。

これらの寄生虫に関しては、予防薬を飲む、塗布する、と言った方法で確実に予防や駆虫が可能です。

毎月与えなければならない物であったり、3か月に一度であったり、現在は予防薬の種類も豊富です。

獣医師に相談して飼い主さんにとって管理しやすいタイプの薬剤を選んで下さい。

また、特に子犬が重篤化しやすいパルボウイルス感染症による貧血も、ワクチンで感染症をある程度予防することができます。

毎年、ワクチンを接種することは、一つの予防法と言えます。

③健康診断

栄養失調や感染が原因である貧血に関しては、ある程度予防できることは紹介しました。

しかし、それ以外の原因で起こる貧血に対する完璧な予防法は存在しておらず、定期的な健康診断を受け、”ひどくならない前に治療する”、早期発見・早期治療が鉄則となります。

健康診断では、貧血は起きていないとしても、もしかしたらその傾向にあるかもしれない、と言った可能性も明らかになります。

若い5、6歳以下の場合には、年に一度の割合で血液検査を行い、それよりも高齢になって来た場合には、短い間隔での血液検査や、大掛かりな健康診断(ドッグドックのように全てを含む検査)を組み合わせて行うことが推奨されます。

犬の貧血で与えてはいけない食べ物

貧血を起こすようなユリ科アリウム属の仲間(タマネギやニンニクなど)は与えないで下さい。

元々、これらの種類の植物はヘモグロビンに影響を起こして、結果的に赤血球が壊れて行きます。

貧血している時に、誤って食べることも無いようにしなければなりません。

犬の貧血に効果的な食べ物

貧血の際に効果がある成分は、鉄分、ビタミンC(鉄分吸収を助ける)、ビタミンB(赤血球の働きを良くする)、ビタミンB12(ヘモグロビンの合成などに役立つ)、タンパク質、などが挙げられます。

ですから、これらを多く含む食べ物を与えれば改善すると思いがちです。

しかしながら、貧血と言う病気の状態は、基本的に飼い主さんの判断で治療をして助けられるレベルの問題ではありません。

自宅で食べ物のみを治療の方法として選択し、改善を行うということは非常に危険です。

如何なる状況でも、必ず獣医師の指導に従った食餌を取らせなければなりません。

例えば、慢性の腎臓病になってしまった場合を考えてみましょう。

腎臓は血液を作るホルモン(造血ホルモン、エリスロポエチン)を分泌する働きがあります。

この造血ホルモンを分泌してくれるはずの腎臓が病気になると、その分泌量は減ってしまいます。

どんなに血液を作る為に必要な栄養を沢山与えても、結局は腎臓自体が仕事をしてくれない為、簡単に貧血を改善させることが出来ません。

貧血を改善させる為に、鉄分、銅、ビタミンB12などを効率よく吸収できるサプリメントを処方したりしますが、根本的な腎臓の治療にはなりません。

この場合は、まず腎臓の負担を軽くすることをメインに、補助的なサプリメントやホルモン剤で貧血改善を目指します。

吸血性の寄生虫がいた場合はどうでしょうか?外部寄生虫であるダニの寄生を例にとってみましょう。

まず最初に行うことは、当然ながらダニの駆虫ですが、貧血の度合いがあまりにも重度である場合は(正常なヘマトクリット値は成犬で 36-55%程度であるが、 20%以下であるなどの場合)輸血をしてあげる必要があります。

輸血後も状態が安定するまでは、貧血改善のために造血を意識した食餌を与える必要があります。

ダニの寄生によってバベシア(原虫)に感染してしまっている場合には、そちらの治療も必要になります。

つまり、貧血だけに注目して治療を行う訳ではありません。

どれだけの期間食事療法が必要であるか、その後の寄生虫の駆除はどのようなスケジュールで行うのか、獣医師の協力無しでは到底答えは出せません。

更に、お腹の中の腫瘍があったり、消化管からの出血があったりした場合の貧血は、多くの場合に食欲が無くなります。

腫瘍の治療を行った結果、薬剤の副作用で貧血を招く可能性もゼロではありません。

このような状況も、獣医師と相談をして食餌を与えなければなりません。

犬の貧血の時におすすめのドッグフード

成長期にある子犬のためのドッグフードは、成犬のフードよりも栄養分が多めに含まれています。

ですから、栄養失調の場合には、そういったステージのフードを与えることは可能ですが、体調の総合的なはんだんが必要な為、獣医師の指示に従って下さい。

また、子犬の時期の貧血は、今後の成長に関わる問題でもありますから、貧血改善後も十分に注意しなければなりません。

栄養価が高いプレミアムドッグフードに関しては、ドッグフードおすすめランキングでも紹介しているので参考にして下さい。

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