【獣医師監修】犬の下痢は食事(ドッグフード)に関係するのか?対策と予防法もお教えします。

とても元気で走り回っているのに、突然、ワンちゃんが下痢をしたら、飼い主さんはちょっと不安になりますよね。

もしかしたら、何か変な物を食べたのかもしれない、それが一番最初に考えることではないでしょうか。

そして1回目の下痢であれば、とりあえず元気もあることだし様子を見てみよう、と経過観察をする方が殆どでしょう。

しかし、2回目の下痢が発覚した時点で少し不安度がアップして、これは病院に行くべきかな?と、そわそわし始めると思います。

勿論、一度でも下痢をしたら病院に行くべきではありますが、夜遅かったり、飼い主さんのライフスタイルも関係することなので、少し様子を見てみるしかない場合もあるでしょう。

犬の下痢ってどうして起こるの?

そもそも下痢とは、普通の便よりも明らかに液体成分が多い状態です。

形がかろうじてある物から、水溶性下痢と言って、まるで水のようになってしまった物、粘膜が混じった粘膜便、下痢の回数が増えると血液が混じっている血便が出たり、上部消化管からの出血があればタール状の場合さえあります。

また、下痢の分類には急性と慢性があり、急性の場合には突然始まってすぐに止まる場合と少し長くても2週間以内に治るものを指し、慢性はそれ以上長い期間の場合を意味します。

更に、回数は少し多めで量が多い場合には小腸性の下痢、回数が非常に多いけれど量が正常より少ないしぶり便であれば大腸性の下痢、と分類することもあります。

獣医師
犬はその習性から、うっかり口にしてしまう異物が人間よりもはるかに多い為、そういった観点からも下痢をしやすい動物です。

例えばゴミ箱を漁ってしまうくせがあると、何らかの消化器症状が出てもおかしくないのは簡単に想像ができるでしょう。

ですから、普段から異物を口にしないようにする工夫は下痢予防の第一歩ですが、それ以外の注意すべき点を検討してみたいと思います。

犬が下痢をする原因

犬の下痢の原因は数え切れない程ありますが、代表的なものは以下のようになります。

食物

犬が下痢をする第一の原因は、何と言っても拾い食いや異物誤飲、そして人間の食べ物、不慣れなドッグフード、と言った口から入る物による消化不良が最初に挙がります。

ドッグフードを変更する場合には、一度に全量変更ということはせずに、少しずつ慣らす必要があります。

感染症

一般によく遭遇する感染症には3種類あります。これらの感染症は積極的に治療を行わないと恐ろしい下痢と脱水を症状とするものがあり、特に子犬の場合には命を落とす危険もある為、十分な注意が必要です。

ウイルス:パルボウイルス、ジステンパーウイルス、コロナウイルス、などのウイルスの病気は下痢を起こすことが知られています。

細菌:カンピロバクターを代表する細菌類も下痢を起こします。

寄生虫:コクシジウム、ジアルジア、回虫、糞線虫、鞭虫、鉤虫、などの寄生虫による寄生が下痢を招きます。

アレルギー

免疫が関係する食物アレルギーが原因で、下痢をすることがあります。

生後数ヶ月から高齢になっても発症する可能性があると言われていますが、生後1年以内に発症することが多いです。

一度発症してしまうと、原因となる原材料は常に排除しておかなければなりません。

また、炎症生腸炎の原因になる可能性も否定は出来ません。

ストレス

ストレス性の下痢は、意外に多いと言えるのではないでしょうか。

いつもと異なるような環境にワンちゃんを置いておくと、その日の夜、或いは翌日に下痢をしてしまう、ということがあります。

犬にとって最高の生活環境とは、”いつも同じで何も変わらない”という状態です。

いつも同じ時間にご飯が出て、いつも同じ時間に散歩に出かけ、いつも同じベッド寝る、いつも同じ家族のメンバーに囲まれている、という状態が一番安心できます。

しかし、バカンスの時期に一緒にお出かけしたり、誰かが遊びに来たり、また家族の誰かが遊びに出かけて長期不在だったり、というような変化は非常に大きなストレスになります。

その結果、お腹の調子が悪くなって下痢をしてしまう子が存在します。

その他の病気

背景に何らかの病気があって、下痢が一つの症状として出ている場合も考えられます。

このような病気は非常に多数ありますが、一部を紹介します。

例1) 腸閉塞

消化できないような物(ボールや石など)を食べてしまったなどの場合に、腸が詰まってしまい、下痢を起こすことがあります。これは非常に危険な状態で、直ちに治療を行なわなければなりません。

例2) 膵炎

膵炎はお腹が痛くなったり、嘔吐と食欲不振、慢性の下痢が続いて体重減少が見られます。膵臓は脂肪分を消化する役割がありますが、膵炎になると脂肪は分解されずに便に排泄されて脂肪便となります。

例3) 腸リンパ管拡張症 (蛋白漏出性腸症)

犬の腸リンパ管拡張症は、腸のリンパ管において何らかの原因でリンパ液の流れが悪くなり、その結果リンパ管が拡張・破綻してしまいます。この破綻したリンパ管から血漿タンパクが流れ出して低タンパク症になります(蛋白漏出性腸症)。

多くの場合、食欲不振、体重減少、下痢、が見られます。また、この病気は食物アレルギーや炎症性腸炎(以下を参照)、腫瘍、鬱血性心不全、などの様々な病気がきっかけで発症する可能性があります。

例4) 炎症性腸炎(IBD)

明確な原因は不明ですが、免疫系の問題が絡んでおり、細菌類や食餌を原因とする抗原がこの病気に深く関わっている腸炎と言われています。慢性の下痢や体重減少、或は体重変化無しの場合があります。

例5)腫瘍

腸管内(或いは周辺)に腫瘍がある場合には、症状として下痢、血便、便秘などが見られることがあります。

薬剤

処方された抗生物質や痛み止め、その他、様々な薬剤で下痢をすることがあります。この場合はすぐに薬の投与をやめ、獣医師に相談して下さい。

下痢をしやすい犬種はあるのか

実際のところ、下痢をしやすい犬種はあるのでしょうか?

  • ジャーマン・シェパード
  • チャイニーズ・シャーペイ
  • ロットワイラー
  • コリー
  • ヨークシャーテリア
  • バセンジー
  • マルチーズ
  • アイリッシュセッター
  • ダックスフンド
  • ラブラドール・レトリバー
  • ゴールデン・レトリバー
  • ミニチュア・シュナウザー
  • ラサ・アプソ
  • ウエスト・ハイランド・ホワイトテリア
  • ボクサー
  • ダルメシアン

などは、食物アレルギー性の下痢や、それ以外の病気での下痢になりやすいと言われています。しかし、どんなワンちゃんも不慣れな食べ物やアレルギー、感染症、などの理由から下痢する可能性があります。

一人お留守番が多い子であれば、飼い主さんの留守中に異物を誤飲して下痢してしまうリスクが高くなるでしょう。

どんな状況でも全く動じないタイプの大らかな子よりも、神経質で家族以外の人間があまり好きではなかったり、家からあまり外に出ないタイプの子が非常にストレスを受けやすく、下痢をしやすいと考えられます。

犬のサイズと下痢の関係について

一般的に体もまだ小さい子犬は感染症などですぐに下痢をしやすく、重篤になりやすいです。

また、小型犬は神経質な子が多く、ストレスによる下痢をしやすいと考えられ、大型犬はゴミ箱あさりのいたずらをしたり、口が大きい為にオモチャ誤飲などで下痢をしやすいと言えるでしょう。

しかし、どんなサイズの犬でも何らかの下痢をする可能性はある為、サイズによる判断は非常に危険です。

犬の下痢とドッグフードの関係

今まで食べていたドッグフードを突然変える必要があった場合には、非常に注意が必要です。

飼い主さんでも、食べ慣れない物を食べて下痢をした経験がある方がいらっしゃると思いますが、犬にとってもそれは同じで、場合によっては消化がうまくできずに下痢をしたりすることがあります。

その為、少しずつ慣らすように、少量からスタートしていくことが必要になります。

食物アレルギーによる下痢は、ドッグフードの原材料が直結しています。

アレルギーの原因として挙げられる原材料は、例えば小麦、ビーフ、チキン、などですが、ドッグフードには様々な物が使われており、そのどれがアレルギーの原因であるかの特定は難しく、治療には全く異なるアレルギーを起こしにくい療法食を使います。

療法食の中には便秘しやすい子の為に繊維質が多く入ったものがありますが、こういった特別なフードを、普通の便をしている子が食べた場合には下痢をする可能性があります。

このように、我が子が明らかに”このフード”を食べた後から下痢をしている、とわかった場合にはフードを直ちに止めて、獣医師に相談をしましょう。

もう少し様子を見てみる、と言うことをしてしまうと、場合によっては予想以上に体調を悪くしてしまう可能性があります。

犬の下痢予防に必要なこと

いくつかの原因が明らかな下痢に関しては、かなり高い確率で予防することが可能です。

感染症

ウイルス感染による下痢の場合には、定期的に混合ワクチンを接種することで、混合ワクチンの中に含まれる感染症による下痢(例えば、パルボウイルス感染症)を、ある程度予防ができます。

しかし、必ずしも混合ワクチンに含まれているウイルス感染症の下痢が100%防げるわけではなく(軽い症状が出たりする場合もある)、何らかの異変(下痢以外の症状も含む)に気がついた場合には、ワクチン接種の有無に関わらずに獣医師の診察が必要です。

細菌性の場合には常日頃から生活環境を清潔にしておくこと、拾い食いなどで不潔な物が口に入らないようにすること、長期放置したフードは与えないこと、といった点に注意しましょう。

寄生虫に関しては、毎月一度、フィラリア予防薬を通年で投薬することで、一部のお腹の中の寄生虫(回虫など)も駆虫と予防ができます。例えば回虫などの卵は非常に外の環境に強く、道路をクンクン嗅いで、結果的に道路のどこかに落ちていた成熟卵を飲み込んでしまうリスクがありますから、毎月のフィラリア予防薬(予防薬によってフィラリア以外の寄生虫に対する効果が異なるので、確認が必要)を冬場でもしっかり与えて予防しましょう。

アレルギー

アレルギーは体質によるものですから、防ぐことは難しいです。しかし、与えたフードはどのような原材料が使われているかを知っておくことは必要です。

フードを変える場合には獣医師に相談をしてから行い、万が一、アレルギーを発症してもフードを渡り歩くことをせずに、獣医師の指示に従って症状を悪化させないように注意して下さい。

ストレス

ストレスの原因になるようなことを避ける、これ以外にはありません。

普段と同じことを続ける、突然のスケジュール変更はしない、人の出入りを激しくしない、むやみに泊まりがけの同伴旅行を計画しない、或いはペットホテルに預けるなどをしない、と言ったことを守りましょう。

止むを得ず預ける必要がある場合などは、先に1日練習などをさせる、少しずつ慣らす、という形で対応して下さい。

一番最悪なことは、急にペットホテルに預けることになり、混合ワクチンを接種しておらず、ワクチンをペットホテル宿泊当日に接種して預ける、というような場合です。

これは絶対にやってはいけません(獣医師は、ペットの体調を考慮して接種を拒否することがあります)。ワクチンとペットホテルのダブルストレスで、ワンちゃんの体調が崩れてしまう可能性が非常に高くなります。

腸閉塞

普段から決められたフードを与える以外には、口に物が入るような状況を作らないようにしましょう。

腸閉塞の原因は、基本的に飼い主さんが見ていない隙に異物誤飲をしてしまうことが殆どです。絶対に我が子から目を離さないように、また目を離す場合にはそばに口に入れられるような物を置かないように気を付けて下さい。

膵炎

膵炎の明確な原因は不明ですが、脂肪が多い不適切なフードを与えることが原因の一つとして考えられます。

一般的なドッグフードで、膵炎を引き起こす程の脂肪が沢山含まれた物は存在しません。しかし、人間の食べ物であるベーコンやフライドチキンなどを与えてしまったりすると、膵炎を起こすことがあります。

ですから、人間の食べ物は絶対に与えないことが何よりも一番重要な予防法です。

腸リンパ管拡張症・炎症性腸炎

これら二つの病気は、明確な原因が解明されていませんが免疫システムの問題が指摘されています。

普段から健康診断(糞便検査を含む)を定期的に行うことと、むやみにフードを変更して試す、といったことはせずに、獣医師の指導に基づいたフード選びを行いましょう。

安いドッグフードは下痢を起こしやすい?

ドッグフードの値段は、ドッグフードの原材料の品質によって変わります。

安いドッグフードは、原材料が安いだけではなく、人工の保存料や着色料、香料、といった沢山の化学物質が含まれている可能性が高いです。

これらの添加物によって下痢を起こす子がいることは否定できず、添加物の数が多ければそれだけリスクも上がると言えます。しかしながら、下痢を起こす体質(例えば、アレルギー体質であるなど)の子であれば、高価なフードの原材料でも下痢を起こす場合はあり、最終的には犬の体質、原材料の種類、品質、といった点に関わる問題と言えるでしょう。

最近ではプレミアムドッグフードが話題になっていますが、これらの餌は高品質なので低価格のドックフードに比べてアレルギーのリスクを下げることが期待できます。

当サイトでもおすすめのプレミアムドッグフードを紹介しているので参考にしてください。

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